金融業界における書面・押印・対面手続の見直しに向けた検討会(第1回)の資料

金融庁で、「金融業界における書面・押印・対面手続の見直しに向けた検討会」が始まっています。インデックスは、こちら

本日段階で、第2回までの検討会議が開催されています。

この検討会が開催されるにいたった経緯については、内閣府 規制改革推進室「書面・押印・対面手続の見直しに向けた取組について」(令和2年6月9日)の資料が、まとめて教えてくれます。

このブログでは、規制改革推進会議の資料や、成長戦略WG(第10回11回)の議論などを取り上げてきました。

そのあと、「テレワーク推進に向けた経済団体及び関係省庁連絡協議会」というのが立ち上がって、官民で連携し、「書面、押印、対面」の原則を見直していくことについて議論しだしたということです。

そして、「経済四団体からの行政手続に関する要望について、関係省庁の再検討結果」がでていることになります。

資料では、2基本的な考え方で、(1)行政手続の見直しと(2)民民間の商慣行等による手続に関するものにわけて考察されることになります。

(2)の民民間については、これは、「商慣行」によるものではあるものの

民民間の手続で特に要望の多かった分野については、法令
上の制度見直しも含め、重点的に取組を求める。
(ⅰ)不動産関係(売買時の重要事項説明書の書面交付
等)
(ⅱ)金融関係(口座開廃、融資、振込等の手続)
(ⅲ)会社法等一般法関係(取締役会議事録の取締役押印、
単体財務書類のウェブ開示等)

となっています。あと、電子署名については、

電子署名ではクラウド技術を活用した電子署名の取扱いが不明確であるなど使い勝手改善の余地があり、早急の見直しが必要。

と整理されています。が、立会人型について

サービス提供事業者が利用者の指示を受けて電子署名を行うサービス

と整理されています。私的には、これは、

サービス提供事業者のプラットフォーム上で、利用者が、広義の電子署名を行うサービス

と定義を変更すべきだと、強く主張している(といってもこのブログの上だけですね)のですが、しょせん、このブログは、内閣府には伝わらないので、残念な定義になっていますね。

それは、さておき、6頁です。

まずは、

法務省において、取締役会の議事録への電子署名について、会社法上、いわゆるリモート署名(※)やサービス提供事業者が利用者の指示を受けて電子署名を行うサービスが有効であるものとし、経済界に周知。(令和2年5月29日)

ということがきちんとでています。オフィシャルなのは、新経済連盟様の報道で紹介していたので、これで5月29日付け周知といえることになりました。

あとは、リモート署名や立会人型について

電子署名法における位置付けや、押印を省略・廃止した場合の懸念点に対する考え方について、関係省庁において引き続き、検討中。

となっているので、何らかのアクションがでてくるものと思われます。個人的には、立会人型は、当事者が、広義の電子署名をしているというので、きちんと2条電子署名に位置づけてくれて、20世紀の先人の苦労をきちんと拾ってくれることを希望します。(って、まだ、みんな関係者現役ですからね)

「行政手続における書面主義、押印原則、対面主義の見直しについて(再検討依頼)規制改革推進会議議長 小林喜光」(5月22に)とかも見てみます。

興味深いのは、2 押印原則の見直しの基準ですね。

  1. 法令等で、押印を条文の規定上求めている書面など以外の書面(通達やガイドラインで押印を求めているものを含む。)については、押印を求めないものとする。
  2. 省令・告示に規定する様式に押印欄がある書面>押印がなくても受け付ける
  3. 法令の条文で押印を求めることが規定されている書面>これについては、可能な限り、押印がなくても書面を受け付ける でもって可能な限りというのは、
  • 押印が求められている趣旨に合理的理由があるか、押印が求められている趣旨を他の手段により代替することが可能か で判断されて、
  • 求めている押印の種類(印鑑証明付きの実印であるか認印・角印であるか)、行政手続等の内容・目的・趣旨等を踏まえた上で、新型コロナウイルスの危機時における緊急対応であるとの趣旨を勘案するとなっています。

興味深いのは、押印の意義で、これは、

(ⅰ)本人確認(文書作成者の真正性担保)。

この場合、注3記載のように本人確認のための手法は他にも多数ある上、特に実印による押印でない場合には本人確認としての効果は大きくないことに留意する必要。

(ⅱ)文書作成の真意の確認。

この場合、本人確認がなされれば通常の場合には不要であると考えられることに留意する必要。
(ⅲ)文書内容の真正性担保(証拠としての担保価値)。

この場合、実印でない押印の意味は必ずしも大きいと言えないこと、文書の証拠価値は押印のみによって評価されるわけではなく手続全体として評価されることに留意する必要。

ときちんと整理されています。この三つは、電子署名の要件と並べてみたりするともっと味わい深かったりします

でもって真正性担保の手法がてています。押印Q&Aのもとになっているのでしょうか。

(ⅰ)継続的な関係がある者のeメールアドレスや既登録eメールアドレスからの提出
(ⅱ)本人であることが確認されたeメールアドレスからの提出(本人であることの確認には別途本人確認書類のコピー等のメール送信を求めることなどが考えられる)
(ⅲ)ID/パスワード方式による認証
(ⅳ)本人であることを確認するための書類(マイナンバーカード、運転免許証、法人の登記書類、個人・法人の印鑑証明書等)のコピーや写真のPDFでの添付
(ⅴ)他の添付書類による本人確認
(ⅵ)電話やウェブ会議等による本人確認
(ⅶ)押印のなされた文書のPDFでの添付
(ⅷ)署名機能の付いた文書ソフトの活用(電子ペン等を用いたPDFへの自署機能の活用等)
(ⅸ)実地調査等の機会における確認

なので、真正性担保は、総合評価でいいよね、だから、電子署名の署名者の担保の部分は、意図だけでいいね、電子署名法2条は、認め印みたいなものだから、とつながっていくと見ています。

でここで、

実印を求めていない行政手続等については、従来の電子署名法の電子署名以外の簡易な民間電子認証サービスその他の本人確認方法の利用を検討すべきである。(電子署名法の電子署名について、使い勝手をよくするための見直しは別途行う。)

とコメントされています。立会人型は、簡易民間電子認証サービスという表現になるのでしょうか。いい表現がないですね。

ここら辺のフォローが続くと、電子署名の数奇な運命のキンドル本出版という作業がどこでできるのか、という個人的な問題が起きたりします。